「日本人の体質に合った食習慣の重要性」


東京大学の門脇教授が現代日本人の食生活の変化と
糖尿病、肥満との関連性についてCLINICIANに寄稿されていますので、
抜粋でご紹介します。

数千年前より日本人は農耕民族、欧米人は牧畜民族という
異なる文明を作り上げた。
農耕民族は蛋白源として植物性のものを中心とし、肉食の
習慣は無く脂肪の摂取は非常に少なかった。
よってインスリン分泌を高める必要がなく、これが日本人の
インスリン分泌低下体質のもとになっている。

こうした食に見合った体質を作り上げて来た。
日本人は50年前、脂質摂取が伝統的な和食を反映して
脂質6−7%であったものが、現在は26−27%となっている。
意外なことに摂取カロリーは50年前とあまり変化はない。
短期間に脂質摂取が4倍にもなったため、
体質とのアンバランスが生じ糖尿病が急増した。

米などの炭水化物は少々過剰に摂取してもレプチンの作用で
エネルギー消費が亢進し、脂肪として蓄積しにくい。
ところが同じカロリーでも脂肪として摂取すると視床下部レベルで
レプチン抵抗性を起こし脂肪が蓄積しやすくなる。

日本人は欧米人に比較して倹約遺伝子を持つ割合が多く、
高脂肪食、運動不足にさらされて小太りが増え、インスリン分泌が
低いので小太りでも糖尿病になりやすく、糖尿病が急増した。

欧米でも動物性脂肪の制限と運動により糖尿病の60%は予防
できるとされているが、こうした生活習慣是正は特に日本人には
有効性が高いことは容易に想像できる。

(出典)
門脇孝 「飢餓時代の食、現在の食」
CLINICIAN No.536 2005

門脇教授は遺伝子体質やインスリン分泌体質の解明と抗肥満薬
の開発に取り組んでいらっしゃいますが、この寄稿の最後に
こう結んでおられます。

「研究課題である創薬が実現した暁にも、過去をふり返り、
日本人の体質に見合った食生活を行うことが、健康づくりと
生活習慣病予防に最も大切といえるのではないだろうか」

炭水化物(複合糖質)である米を総カロリーの70%で
暮らしてきて出来上がった、私たち日本人の体質で、
炭水化物制限などのダイエット法が果たして長期継続できるもの
なのでしょうか?

正しいダイエット用の食事は、日本人に合った伝統的な和食以外には
なさそうです。

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